世界無形文化遺産への登録が決定した「和食」…


 世界無形文化遺産への登録が決定した「和食」。魚料理が多く一汁三菜を基本とし、栄養のバランスの面でも優れている。

 古代の日本人の食生活と今日の和食文化の間にどのような因果関係があるのか。月刊「教育再生」11月号は特集「こんなに変わった!いまの日本史の語り方」というタイトルで古代人の食生活に注目している。

 1万数千年前の縄文時代というと、野山でシカやイノシシを追っているイメージがあるが、実際は「植物食が中心であり、木の実が主食」だった。「クリや山芋、豆類、エゴマ、ヒョウタンなどは管理して栽培されていた」と考えられる。

 ヘルシーな和食とのつながりが感じられる。素材そのものの持つ味や栄養を生かすという点でも、和食と共通していると言える。また、当時から日本人の魚好きは際立っていた。

 「沿岸地域では、クジラ、タイ、スズキ、マグロ、アジ、イワシなど現在私たちが口にできる魚のほとんどが獲られていた(中略)遠洋航海の技術も持っていた」という。つまり「日本列島の文化的な同質性や日本人の豊かな食生活の基本は、縄文1万年の間につくられたものだった」と結論付けている。

 日本はユネスコに無形文化遺産登録を提案する際に、和食を「自然を尊重する日本人の精神を体現した社会的慣習」と位置付けた。和食文化の根底には自然や神仏への感謝の心がある。日本人の心性を抜きに語れない。