健康食品としても重宝されるアーモンドは…


 健康食品としても重宝されるアーモンドは、そのほぼ100%が輸入品。山梨県甲斐市在住の株式会社花野果(はなやか)代表取締役・笹原六氣(りっき)さん(57)は、商業用で国内初のアーモンド栽培に挑戦している。

 笹原さんは東京でIT関連事業に従事していたが「昼夜コンピューターとにらめっこ。人間崩壊の危機を感じた」と50歳を前に一転、農事に新天地を求めた。

 横浜市で農業の基礎を勉強し3年半前、現在地に移ったが、山梨は果樹王国で、当の甲斐市はコメ、桑などの生産も盛ん。そんな中、「後進のために新しい実績を残したい」と、アーモンド作りを決意した。

 当初、作付け例は見当たらず試行錯誤の連続だったが、250本の苗木が育ち、今年初めて実を付けた。計3000坪を借り入れて「リッキーランド」と名付け、夢の実現に邁進(まいしん)中だ。

 だがこの間、笹原さんにとって予想外だったのは地元(特に同業者)の反応。新規の農業従事者に対して「ウエルカムだろう」と見込んでいたが、実はその逆だった。耕作地でなく30年来の荒れ地しか借りられず、トラクターの借り入れやビニールハウスの購入などを農協や商工会に頼んでも「地元優先」とばかり、何の返答も得られなかった。

 地元は“よそ者”扱いせず、もっと長い目で見守るべきだろう。今、地方の時代と言われ、全国的に地域振興を目指す機運が高まっているが、地元の人たち自身の意識改革がまず必要だ。