1人――というのが1日の最少人数である。…


 1人――というのが1日の最少人数である。平成元(1989)年からこれまでに、昨年9月4日と平成22(2010)年5月26日に記録した交通事故死者数である。

 1日の最少人数は平成14年に10人だったが、翌15年に7人を記録してからは概(おおむ)ねひとケタの年が続き、近年は3、4人を年に何回か記録するまでになった。平成20年に設けられた新たな国民運動「交通事故死ゼロを目指す日」による意識の高まりの成果とも言えよう。

 今年の「ゼロを目指す日」は春の4月10日に続いて、今月末の30日である。残念ながら「ゼロの日」を達成した年はこれまでない。あとわずか1人なのだが、桐生祥秀選手が突破するまでの男子100㍍10秒の壁のように立ちはだかる。

 さて、本欄でも7月11日付で触れたが、今年は交通事故死者が戦後最少となる公算が大きくなった。6月までの交通死者数は昨年同期より152人(8・3%)少ない1675人で、上半期ベースで昭和31(1956)年以降の最少を更新した。

 7月が昨年比20人増だったため、1年の3分の2となる8月末までの統計では2298人。昨年同期比が151人減とやや足踏みしたが、依然として戦後最少を記録した昭和24年の3790人を下回るペースである。

 残る4カ月間は、夕暮れ時に人や自転車が見えにくくなる事故増加期。21日スタートの秋の交通安全運動ポスターは「命を守る早めのライトと反射材」と呼び掛ける。