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ノーベル医学生理学賞を受賞した東京工業大…


 ノーベル医学生理学賞を受賞した東京工業大栄誉教授の大隅良典氏が「大隅基礎科学創成財団」を設立した。「基礎生物学の分野で、重要でありながら支援を得られなかった研究者に、研究費を提供したい。100万円や200万円でも研究が進展する人がいる」と。

 現在、国の予算、大学の研究費が削減され、日本の研究力が低下している。大隅氏がノーベル賞の賞金など私財を投じて財団を設立したことには、その危機感と共に、基礎研究への愛着、執念が感じられる。

 素粒子や宇宙を対象にした物理学・天文学分野で新しい発見をするには、巨大な素粒子加速器や電波望遠鏡など数百億円単位の投資が必要だ。国の予算を当てにしてもかなわないようなところにきている。

 それに比べると、細胞内の“探索”の武器は、極端に言えば顕微鏡一つでも足りる。大隅氏が若き日、生命の本質であるオートファジー(自食作用)を発見したのも、顕微鏡の中の現象に関心を持ったのがきっかけだった。「100万円や200万円でも……」という思いは強かろう。

 よく大隅氏は「細胞内は『真理の宝庫』だ」という趣旨の発言をしている。生命の本質を捉える好機を逃すな、我に続け、という叫び声が聞こえてきそうだ。海外との競争は激化している。

 ノーベル医学生理学賞は日本人で4人が受賞、ここ2年は連続受賞している。生物学についても日本の伝統の灯をともし続けたい。