財、貨、貢など、お金や財産に関わる漢字には…


 財、貨、貢など、お金や財産に関わる漢字には、貝の付くものが多い。これは、古代中国・殷の時代、子安貝の貝殻が貨幣として用いられていたためだ。子安貝は沖縄やベトナムなどでしか採れず、希少性があり、かつ丈夫で保存性もあった。

 よく漫画などで、原始的な貨幣として、真ん中に穴の開いた大きな円形の石が描かれたりする。これは石貨といって、実際、西太平洋のミクロネシア連邦のヤップ島では、1931年まで造られていた。

 素材となる石はヤップ島では産出せず、約500㌔離れたパラオまでカヌーの船団を組んで行き、許可をもらって採掘したという。確かに、島内で簡単に造れるのでは貨幣としての価値が担保されない。

 その大きさは、直径1㍍ほどあり、真ん中に丸い穴が開いているのは、棒を差し込んで運ぶためだという。重いから簡単に盗むこともできなかっただろう。

 子安貝や石貨、そして金貨などのコイン。貨幣は歴史とともに変化してきた。そして最近は「仮想通貨」と言われるものまで出現している。警察庁によると、仮想通貨アカウントへの不正アクセスで、ビットコインなどが別のアカウントに送金される被害が、今年上半期に23件に上っている。

 丸太で担いで運んだ石貨と比べれば、簡単に売買ができる仮想通貨。しかし、簡単に盗まれるというリスクがある。セキュリティーを高めなければ、安定した通貨にはなり得ないだろう。