わが国で雨量が多いのは梅雨と台風の時期で…


 わが国で雨量が多いのは梅雨と台風の時期で、豪雨災害もその期間に集中している。都市では1時間の雨量が50㍉になれば浸水被害が起きる可能性が高いが、最近は全国でそれを超える大雨が頻発した。

 九州北部豪雨で甚大な被害が出た福岡県朝倉市では最大1時間雨量が129・5㍉もあった。2012年7月の同地域の豪雨災害では、同県八女市で91・5㍉を記録したが、それをはるかに上回った。

 気象庁気象研究所の津口裕茂研究官は「今回の方が狭い地域に多くの雨が集中した」として、想定外の雨量が、土砂崩れや河川の氾濫の規模を大きくした要因であることを認めている。

 九州北部だけではない。局地的大雨に見舞われた東海地方は、愛知県犬山市や小牧市で1時間に約120㍉の雨が降り、約3万世帯に一時避難指示が出た。北海道や東北でも大雨が降り、小樽市などで1時間に約80㍉という雨量を記録した。

 ここ2~3年の全国的な豪雨被害の特徴を挙げると、想定外の雨量である局地的大雨の列島各地への広がりということになろう。国として、国土防衛の視点からも、新たな豪雨災害への対策が急務だが、あえて都道府県、市町村単位の地域防災を強調したい。

 自治体は従来、河川管理や森林開発などで国に頼り任せていた面が大きすぎる。地域の風土、気候的特徴、河川状況を見極め、各地域に合った細やかな対策が必要であることを自覚すべきだ。