「花いっぱい運動」が全国各地の自治体で…


 「花いっぱい運動」が全国各地の自治体で進められている。街の景観を花を植えることで良くしようという運動だ。先週、福島県を旅した時に地元の新聞やテレビ局で紹介していたのが前沢集落のシャクヤク。

 ここは南会津町の山間にあって、集落の周囲は山と野だ。辺鄙(へんぴ)な所だが、東京の浅草から東武鉄道と野岩鉄道に乗って会津高原尾瀬口駅で下車。そこから国道352号を約40分バスに乗って行く。

 ここを訪れたのは2年前の5月末で、ハナショウブが終わり、シャクヤクはまだ開花前。今年の見頃は今月20日ごろだったが、映像で見るとボタンよりも庶民的で、清浄な紅と白の花々はひなびた集落にふさわしい。

 ここには伝統的建造物の曲家が13戸ある。曲家とはL字形の平面を持つ民家で、厩(うまや)と母屋が一体で、突出した部分が厩として利用されている。母屋には土間と炊事流し場があり、奥に下縁(したえん)、上縁(うわえん)と続く。

 平成4年、農林水産省主催の第1回「美しい日本のむら景観コンテスト」の集落部門賞に輝き、23年6月には統一的景観保全のために国の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定された。以来、観光の名所になっている。

 集落には無人販売所があって土産物も置いてあるが、それはハチミツやギョウジャニンニク。斜面に広がる畑の一部はソバ畑だ。保存地区の入り口にあるただ一軒の店「そば処曲家」では、そこで収穫されたソバで作る十割そばが名物。再訪したい集落だ。