ブラジルのサンパウロに「ジャパン・ハウス」…


 ブラジルのサンパウロに「ジャパン・ハウス」が開館した。日本の魅力を総合的に発信する拠点となる。

 海外での日本文化紹介施設としては、ブラジルを含む各国に外務省所管の国際交流基金が運営する日本文化センターがある。ジャパン・ハウスも政府が予算を拠出するが、「極力、運営方針には口を挟まない」(外務省)という。

 今後ロンドンやロサンゼルスにも建設が予定されているが、これまでの官製型広報と一線を画したものとなる。小紙・綾村悟特派員によると、サンパウロでは民間主体で現地の日本人社会との連携を重視する。

 今や日本文化を代表するものといえば、科学技術とともに漫画、アニメなどのサブカルチャーだ。これまで日本文化として紹介してきたものと、現地の人々の求めているものにズレが生じてもおかしくないだろう。

 中央アジア・ウズベキスタンの首都タシケントにあるウズベキスタン日本センターを訪ねたことがある。日本語教室やビジネス教育もあり、日本文化の紹介と交流に大きな役割を果たしているようだった。DVD視聴室では20代の男性が、黒澤明の「用心棒」を熱心に見ていた。

 タシケントでは黒澤のファンという国営テレビ幹部と懇談する機会もあり、黒澤の代表作「羅生門」について話が盛り上がった。しかし、今や黒澤以上に高い国際的評価を受けている小津安二郎のことを尋ねると、知らないようだった。発信すべきことは多いと痛感した。