韓国も日本と同様に陶磁器の制作が盛んだ…


 韓国も日本と同様に陶磁器の制作が盛んだ。京畿道利川(イチョン)には陶芸村があって田園風景の中に窯が300カ所も点在している。ここを舞台に今月22日から1カ月以上にわたって「世界陶磁ビエンナーレ」が開かれる。

 日本統治時代に伝統的な陶磁器制作の技術が廃れたため、独立後、陶芸家たちが取り組んだのはその復元。池順鐸や柳海剛はその功労者だが、彼らが始めたのは古い窯場で破片を探し工程を明らかにすることだった。

 慶尚北道の聞慶(ムンギョン)に李朝時代から代々陶芸家だったという人物を訪ねたことがあった。先祖の作品を見せてほしいと言うと一点も残っていないとの返答。歴史の激しさと酷烈さを感じさせられた。

 対照的なのは日本伝統だ。今、東京国立近代美術館で「茶碗の中の宇宙」展が開催中で、ここには長次郎によって始められ、利休の愛した樂焼の、初代から15代に至るまでの茶碗が展示されている。

 450年もの間、一子相伝、つまり技術や知識を自分の子だけに伝えることで継承されてきた茶碗だ。しかしそれらは不連続で、各々の代では試行錯誤の連続だったことを物語っている。

 15代樂吉左衛門さんが襲名して間もなくのころ、話を聞く機会があった。祖父たちのすさまじいプレッシャーがあり、それに耐えて「今」を創ることの困難さを打ち明けてくれた。「私が生きている間に二度とこれほどの規模の展覧会は開催できない」とメッセージを寄せている。