ミステリー小説の謎解きの古典的なテーマに…


 ミステリー小説の謎解きの古典的なテーマに「密室犯罪」がある。殺された被害者がいた部屋には鍵が掛かっていた――。そこでどんな新しいトリックを考えるか、作家たちの腕の見せどころである。エドガー・アラン・ポーの「モルグ街の殺人」が最も古く、日本では横溝正史の「本陣殺人事件」が有名だ。

 国会に証人喚問された「森友学園」の籠池泰典氏は、100万円の寄付金について「(安倍晋三首相夫人の)昭恵氏がお付きの方に席を外すように言った後、私と二人きりの状態で、封筒をカバンの中から出した」と証言した。まさに密室でのやり取りで、想像は膨らむ。

 しかし証拠はなく、全くの作り話の可能性もある。昭恵氏は「そのようなことを行っていない旨、秘書2名にも確認した」と否定している。

 講演の謝礼についても籠池氏は、10万円を菓子箱に入れて昭恵氏に渡したと生々しく語っている。菓子箱はワケありの金を渡す時の古典的な小道具だが、返って作り話のようにも思える。これも昭恵氏は否定している。

 どちらが真実なのか、一部メディアは大問題のように書き立てているが、その事自体は法的にも道義的にも何の問題もない。そんなことよりも、国有地の払い下げ価格が適正だったか、不適正であれば、そこに政治的な不当な力が働いたか否かである。

 野党や一部メディアは昭恵氏を国会に喚問し、何とかダークなイメージに仕立てたいようだが、どう見ても無理筋である。