「町の本当のにぎわいということになれば…


 「町の本当のにぎわいということになれば、まだ5年以上はかかってしまう。そういう意味では、国民のなお一層の応援が必要だと思います」と映画「サンマとカタール」エグゼクティブプロデューサー・鈴木靜雄さん(サンデー世界日報2016年3月6日号)。

 東日本大震災の被災自治体の中で最も被害率の高かった宮城県女川町。その漁業の町の復興支援にいち早く動いたのは中東の国カタールで、震災翌年の12年に製氷工場と冷凍施設が建設され、サンマの水揚げが本格化した。

 その顛末(てんまつ)を織り込んだ「サンマとカタール」が昨年、先の鈴木さんら有志によって完成。同年2月の女川での特別試写会には安倍晋三首相も立ち寄った。その後、映画は全国各地で上映され話題となっている。

 この3月8日には東京・板橋区の区立文化会館で上映予定だ。板橋区と女川にはちょっとした因縁がある。約20年前から毎年、区内の小学校に女川の人たちが来て、校庭でサンマを焼き、児童たちに魚について教えるなど都会と漁業の町の交流が続いていた。

 震災時には、そのサンマを食べ成長した若者たちが、率先して支援に駆け付けたのだ。板橋区の住民たちも「女川町復興支援ネットワーク」を立ち上げている。

 その女川は年々賑(にぎ)わうようになったが、町全体の復興は遠く、まだ支援の手が必要だ。映画ではその実情も描かれている。鑑賞などの問い合わせは電話03(6311)6381まで。