激しい暴風雪の中で北海道電力泊原発3号機…


 激しい暴風雪の中で北海道電力泊原発3号機(停止中)で事故が起きた――こうした想定の下に、域内の泊村で原子力総合防災訓練が実施された。政府の総合防災訓練が真冬に行われるのは初めてだ。

 訓練では、悪天候で避難ができない住民のため、町職員が2人1組で民家を回り、被曝(ひばく)を軽減する安定ヨウ素剤(実際はあめ玉)を手渡した。受け取った1人、農家の石田茂夫さん(73)は「訓練を繰り返すことで避難などの順序が分かる。大規模な訓練でなくても普段から訓練があってもいい」と。

 町村規模の訓練実施にも地元の多くの人の協力が求められる。今回は、高橋はるみ知事が国に実施を求め、内閣府や原子力規制委員会、北海道など地元自治体のほか、周辺住民60人を含む約30機関460人が参加した。

 平成7年2月に阪神・淡路大震災の被災者に神戸市消防局が行った調査では、大震災前の「地震を想定した訓練への参加経験」があった人は約8%と極めて少なかった。

 その後、訓練の重要性が強調され、政府、自治体などが主導してさまざまな地域で行われるようになった。しかし住民の意識は依然、高いとは言えない。

 外国人が多い所、山間の過疎地、新興の住宅地など、町にはそれぞれ特徴がある。自分たちの町にふさわしい訓練を行うとともに、特に都市部ではこうした訓練を住民の絆を深めるきっかけとしたい。「防災文化」を根付かせることが重要だ。