第一生命保険が発表した「大人になったら…


 第一生命保険が発表した「大人になったらなりたいもの」のアンケート結果によると、男の子で「学者、博士」が2位となり、前回の8位から大幅に上昇した。「日本人のノーベル賞連続受賞の影響があるのではないか」と分析している。

 1位は7年連続で「サッカー選手」。前回18位の「水泳選手」が8位に浮上した。昨夏のリオデジャネイロ五輪で日本人選手が活躍したためとみられる。

 全国の幼児や小学生ら1100人から回答を得たという。子供たちは茶の間での両親の会話や学校の先生の話、クラスでのおしゃべりの内容に敏感だ。「学者、博士」の順位変動は、話題の中心人物への憧れの表明でもあろう。

 学者、博士さらに研究者と言えば、優れた頭脳の持ち主で、以前から優秀な子供たちのなりたい職業の一つではあった。半面、象牙の塔の中にこもり、世情にややうとい、社会的に光が当たらないというイメージがあった。

 青色発光ダイオード(LED)を開発し、2014年にノーベル物理学賞を受賞した中村修二博士が「日本では理系の人間が金持ちになれません」と著書『ごめん!』(05年刊)で書いている。それが今や、男の子の人気をサッカー選手の次に集めているのは、時代の変化とは言え、中村氏も光栄だろう。

 実際、自らのアイデアを武器に産業界に打って出て「代表取締役教授」となっている理学・工学博士も増えつつある。理系の志望者増の復活を期待したい。