焼き鳥を串から外して食べる客が最近増えて…


 焼き鳥を串から外して食べる客が最近増えているそうだ。それに対し、店側がインターネット上で「やめてほしい」と強く要請したことが話題になっている。「わざわざ串に刺したのだから、そのまま食べてほしい」というのが店側の要望だ。

 寿司(すし)のネタをはがして食べる客が稀(まれ)にいるが、寿司職人にとっては耐え難いことのようだ。「ネタと酢飯が一体となったのが寿司」というのが寿司屋側の言い分だ。

 一方、ハンバーガーのハンバーグをパンから取り出して食べる客は見たことがない。ハンバーグとパンは一体と認識されているようだ。

 食は腹を満たすものであるとともに文化そのものだから、食にまつわるあれこれは多い。鰻(うなぎ)に山椒(さんしょう)をかけたら「何をふりかけているんですか?」と問われてビックリしたという話を聞いたことがある。「鰻+山椒」という食べ方を知らない日本人もいる。地域によって違いがあるので「知らないのはおかしい」とは言い切れない。

 焼き鳥を串から外して食べるのも一つの食べ方には違いない。「金は払うのだから、どんな食べ方も自由」という言い分もあるが、代金を払うのは当たり前の話。

 プロだか素人だか分からない人間がマニュアルに従って調理しているケースも最近は多い。そんな中にあっても、店側の意向とどう折り合いをつけるのかも食文化に含まれる。きちんとしたプロである店側の食文化観がもっと重視されてよい。