先月の全国の交通事故死者は350人で、昨年より…


 先月の全国の交通事故死者は350人で、昨年より29人の減少となった。1日当たりで13人弱だったのが12人弱と1人減らしたことになる。これで今年の11月までの合計も、昨年より191人減の3484人。

 師走の今月は1年で最も交通死者が多くなる月だが、それを加えても今年の年間交通死者が4000人以下となるのは今や確実である。この数字がどれほどのものか。9073人だった平成12(2000)年の半分以下。

 さらに交通死者が1万6765人とピークを記録した昭和45(1970)年の4分の1以下に減らすことになる。事故で失われる数多(あまた)の人命に“交通戦争”が言われた時から、その防止を啓発する交通安全運動を営々と積み重ねてきた努力も大きい。

 そんな中で、相次ぐ高齢ドライバーによる死亡事故が深刻だ。先月13日には東京・小金井市と千葉・長南町で各1人、12日に東京・立川市の病院で、歩道に乗り上げた乗用車にはねられ2人が死亡した。その2日前には栃木・下野市の病院で乗用車がバス停に突っ込み、3人が死傷。

 10月には横浜市で軽トラックが小学生の列に突っ込み、今月7歳の誕生日を迎えるはずだった男児が死亡する痛ましい事故もあった。いずれも運転していたのは80歳代の高齢者である。

 高齢者が加害者となる死亡事故は増加傾向だが、問題は認知症だけでない。判断力や運動能力の低下などへの総合的な対策が急務である。