福岡市のJR博多駅前の道路陥没事故を検証し…


 福岡市のJR博多駅前の道路陥没事故を検証し、事故原因を究明する、専門家ら12人による第三者委員会が構成され、初会合が開かれた」

 委員長の西村和夫・首都大学東京副学長は「大きな事故というのは、単純に一つの原因で起きるというのはまずない。何か原因が重なって落ちてしまうというのが一般的(な見方)」と」

 問題は、福岡市では2000年と14年にも、今回と同じ地下鉄七隈線の工事による道路陥没事故が起こっていることだ。今回の現場では先月末にも道路が沈下し、石井啓一国土交通相は「事前に沈下が想定されていたが、周知しておらず市民に不安を与えた」と厳しく指摘した」

 幸い今回の陥没で人的被害はなかったが、大惨事になりかねなかった。過去の教訓を十分に生かした対策が取られていたのかどうか」

 現場ではナトム工法で岩盤が掘削されていた。この工法は1㍍ごとに掘削し、その都度コンクリートの吹き付け作業を実施しながら進めていくもの。その途中で起きた水漏れの影響で地盤が緩み、それが一挙に拡大した」

 工事中の水漏れや地盤沈下の事故を防ぐための優れた工法として凍土遮水壁がある。かつて地下鉄都営新宿線や東京メトロ半蔵門線のトンネル工事で用いられたもので、費用は少々かさむが信頼性は高い。設計、施工の段階で、地質に合った工法が選択されたかどうかなど、第三者委が解明すべき点は少なくない。