かつて北海道にある大雪山の麓のひなびた…


 かつて北海道にある大雪山の麓のひなびた温泉宿で、シカ肉料理を食べたことがあった。野菜と一緒に焼いて、味噌(みそ)で味付けしてあり、珍しかったが、それほど美味(おい)しいとも思わなかった。

 そんな話を福島市に在住する友人に打ち明けたら、「シカ肉はカツレツにすると美味しく食べられるんだ」と教えてくれた。福島県ではイノシシ被害も増えているというので、狩猟について聞いてみた。

 友人の話によると、福島県では猟師のなり手がいない。東京電力福島第1原発の事故の後に、狩猟者の数が激減。放射線の影響で野生鳥獣の出荷が制限され、自家消費も禁じられたからだ。

 鳥獣被害は全国の至る所に広がっている。兵庫県でよく話題にされてきたのは、神戸市街に出没するイノシシだった。山間部に近いエリアで人身事故が多く、年間700頭も捕獲され続けている。

 ところが同県ではツキノワグマも増え過ぎて、20年ぶりに今月15日、狩猟を解禁した(小紙今月23日付)。1996年に100頭以下になり、狩猟を全面禁止にしたが、昨年は推定生息数が800頭以上に上った。

 ハンターを対象とした安全講習会が開かれた。だが県内の狩猟免許の所持者は10年前と比べて4割減少し、2608人。高齢化と長年のブランクで経験不足が目立ち、尻込みする声が目立ったという。狩猟免許所持者の大部分は50歳以上。ここでも若者層の自然離れが顕著だ。