東京・武蔵野近くの公園にある10本ほどの…


 東京・武蔵野近くの公園にある10本ほどのイチョウのうち2~3本がまばゆい黄金色に輝き始めた。ほかはまだ青々としている木から黄緑のまだら模様までいろいろだ。日当たりがよく光合成が盛んだったイチョウの葉は黄葉が早い。

 だが、日光を十分に浴びていなかったり、剪定(せんてい)されたりした木は生きることに懸命で、緑が続き黄葉が遅れるという。同じ所の木でもそれぞれに時間差はあるが、すぐに黄葉真っ盛りだ。

 東京都内の街路樹でハナミズキにほぼ並んで多いのがイチョウである。昨年の調べでハナミズキ約6万3000本に対し、イチョウは約6万2000本。

 根元が幹の周りだけ土で、あとはコンクリ・タイルなどで覆われる街路樹の生育環境は通気性、透水性など最悪。造園専門家の中には「樹木への虐待そのもの」と言う人もいる。それでも健気(けなげ)に育ち、人の心を和ませ、都会のヒートアイランド現象を緩和してくれる。

 昨年度で終了したが東京都の音頭で街路樹を増やす「マイ・ツリー」事業があった。2008年度にスタートし約49万本だった街路樹が昨年までに95万本に増えた。

 イチョウなどの高木の場合、5万円を寄付すると樹名プレートにメッセージや名前が書き込めるというもの。<銀杏(いちょう)並木 共に歩んで 節目の五十年>。東京・日比谷通りの2本のイチョウにある千葉県の老夫婦のメッセージだ。きょうは「いい夫婦の日」である。