名古屋城内の広大な中庭に、休日ともなれば…


 名古屋城内の広大な中庭に、休日ともなれば多くの若い女性らが集まり、歓声を上げる光景が見られる。「名古屋おもてなし武将隊」のイベントが目当てだ。

 10人の武将たちに扮(ふん)した「武将隊」がキメる殺陣は見応えがある。名古屋市のふるさと雇用対策事業として2009年に始まり、現在は広告代理店が運営。同様の企画は全国に広がり、城ブームに一役買っている。

 名古屋城は15年度実績で、市内外から約174万人が訪れる観光の一大スポットだ。ところが、名古屋市の河村たかし市長は「天守が地震で相当危ない。早急に入場を禁止することになる」と言明。これにはさすがに驚かされた。

 河村市長は天守閣の耐震化を兼ねた木造復元を目指しているが、復元時期とその予算案をめぐって議会と対立、継続審議になっていた。今回、その打開に一歩踏み出したというのが事の経緯。

 戦火による焼失後、再建された天守閣のコンクリートが経年劣化し、修復が避けられないのは事実のようだ。市長は入場禁止後、補正予算案を専決処分し、木造復元を進めることを検討している。

 名古屋城を典型的な例として今、全国自治体の中には、町おこしに活用できるような歴史的建造物の建て替え、修復に迫られている所が少なくない。しかし、多くはその予算確保が思うに任せない。今後、自治体の大きな課題の一つとして顕在化してくるだろう。