イタリア中部を襲ったマグニチュード6・2の…


 イタリア中部を襲ったマグニチュード6・2の地震で290人以上の死亡が確認されたが、行方不明者はまだ多数いるとみられる。地震発生から1週間、捜索活動は厳しさを増している。

 被災地は山間部にあり、救助隊員らの移動に困難が生じているという。さらに多発する大小の余震のため、橋が損壊して多くの道が寸断されてお、救援用の重機運搬にも支障を来している。歯がゆい限りだ。

 特に人口約2600人の町アマトリーチェでは壊滅的被害が出た。地震のエネルギーは特段強力ではなかったが、震源の深さが10㌔と浅く、揺れ(震度)が大きく、熊本地震と同様、いわゆる直下型地震の恐ろしさを改めて感じさせた。

 それにしても、イタリアはわが国と同様、世界でも地震の多い国の一つで、地震への対策は営々と積み重ねてきたはず。ところが建造物が破壊されたがれきの山を見ると、耐震化の努力について疑問符も付く。

 この地方は、町全体が観光の対象ということで、却(かえ)って建物の地震対策が後手に回っていたとも言われる。就寝中で、何の対処もできず、崩れた建物の下敷きになってしまった人が多い。

 自然災害のうちでも地震は突然襲い、理不尽にも感じられる。今「日本地震予知学会」(早川正士会長)では、電磁気現象に見られる地震前兆の信号についての予知研究が進んでいる。何とか大きな成果を出せないものか。