今年の「流行語大賞」に選ばれたのは四つ。…


 今年の「流行語大賞」に選ばれたのは四つ。「今でしょ!」「倍返し」「じぇじぇじぇ」「お・も・て・な・し」。四つもあるのは、流行語の「豊作」を物語る。が、この中から強いて一つを選ぶとすれば、予備校講師林修さんの「今でしょ!」を推したい。生きて行く上で大事なポイントを突いているからだ。

 「今が大事」というのだから「先送りはするな」「過去に妙にこだわる必要はない」ということにもつながる。「行動を起こすのは、今をおいてない」という意味にとれば、行動主義的、実践的な処世の勧めとも解釈できる。

 予備校講師らしい言葉だ。予備校は学力別にクラス編成される。実力主義の世界だ。生徒は自分の学力のほどをいやおうなく知らされる。平等主義のようなキレイごとは、予備校では無縁だ。

 これは講師も変わらない。生徒へのアンケートの結果によって、賃金が上がることもあれば、失職することもある。その意味では、芸能人やプロスポーツ選手と同じだ。

 一般に学校は社会に比べて優しい環境と言われる。が、人間社会は予備校のようなものだ。そういう世界を勝ち抜いてきた林さんだからこそ「今でしょ!」は生まれたのだろう。

 「今」以外を生きるようには人間も動植物もつくられていない。このことを考えると、「今でしょ!」は、今年の流行語であることを超えて、人間も含めた生物全体が生きて行く上での真理を物語っているようでもある。