家屋が軒並み倒壊し、散乱するがれきに…


 家屋が軒並み倒壊し、散乱するがれきに埋もれた廃墟と化した風景が見渡す限りに広がる。かと思えば、破壊された家に乗り上げた大型船のそばで立ち尽くす人々。昨日の夕刊に大きく掲載された写真に、絶句した。

 その惨状は<まるで東日本大震災による大津波に襲われた東北沿岸部の被災地ではないか>と。史上最大規模に発達した台風30号が、8日にフィリピン中部レイテ島(人口約217万人)を襲い、人口約25万人の中心都市タクロバンは壊滅的な打撃を受けた。

 フィリピン政府は昨日朝現在で国内で被災者約970万人、255人の死亡を確認したと発表した。だが、外国通信社はレイテ島だけで死者1万人に達する恐れがあると同島警察幹部が語ったことを伝えている。レイテ島に住む約100人の在留邦人の安否も気遣われる。

 甚大な被害が出た最大の理由は、記録的な規模の台風による大規模な高潮が大津波のごとく襲いかかったこと、とみられる。それが「気象津波」だと今回、初めて知った。

 津波は地震によって起こるもの、と思っていたが、台風中心部の低気圧による上昇気流で発生する海面の「吸い上げ効果」や遠浅の地形などが重なると、今回のように大規模な高潮が牙をむき大津波に匹敵するようになると。

 さっそく政府は国際緊急援助隊・医療チーム25人をフィリピンに派遣した。引き続き被害実態に必要な援助の手を官民で差し伸べたい。