通勤時に通る商店街の街灯に、… 


 通勤時に通る商店街の街灯に、地元の小学生の「リニア」と題した乗り物の絵が釣り下がっている。これを見て、気流子が小学生の時、新幹線「こだま」の絵を夢中で描いたのを思い出した。あこがれの夢の乗り物は今、リニアモーターカーなのだろう。

 少年の心に抱かれる「夢」は、生活の中で見聞きする身近な情報が基になっている。まったくの空想だったり、遠く手の届かないものだったりすることはないようだ。

 今回、五輪招致が決まった時の街の声は「かつての東京五輪の時に抱いたのと同じ夢や希望を、孫や子供に持ってほしい」というのが多かった。「夢」は世代や親子の絆によって伝わる何ものかでもある。

 以前、中西輝政・京大名誉教授の講演の中で「父親と息子の年の開きは約30年で、この1世代期間が重要であり、西欧人はこのスパンを重視する。また祖父から孫までの60年、2世代も大きな意味を持つ」ということを聞いた。

 「ゆえに歴史は60年くらいで完全に一回りする。国の在り方、歴史の見方、価値観も、そのスパンで大きな転換を遂げていく」との内容だった。その意味で、親子、世代間の伝統継承が国家発展の重要なファクターとなろう。

 社会秩序の根底に家庭の存在があり、健全な青少年を育てる上で家庭が重要であることを改めて痛感する。日々の淡々とした家庭生活の営みにありがたさを感じる今日この頃だ。