今年後半には大物俳優、芸能人が鬼籍に入る…


 今年後半には大物俳優、芸能人が鬼籍に入るというニュースが相次いだ。その話題性には及ばないが、多くの人々に親しまれて大衆演芸界を支え続け、12月4日亡くなった漫談家の原一平さん(享年76)も忘れられない。

 サラリーマン生活が長く、36歳で芸人に転じた。物まねが得意で、寅さん役の渥美清さんから「もう一人の寅さん」とお墨付きをもらいブレーク。本人からだぼシャツ、帽子、腹巻きを譲り受け、声も仕草も寅さんになり切った。

 「寅さんの一言一言に『人情、勇気、希望』がまぶされてます。寅さんワールドの輝きを出したい。ずっと現役でいたい」。決してえらぶらないが、話し好きで、よく所信を聞かされた。

 夫唱婦随。妻の幸子さんが40歳代で喉頭がんになり一旦声を失ったが社団法人銀鈴会に入会、電動式人工喉頭で声を取り戻した。原さんは妻のリハビリの送り迎えを欠かさなかった。

 また郷土、北海道旭川市への思いが強く、2006年には地元紙に回顧録を連載し古里への愛情を滲ませた。都内在住だが、長く旭川観光大使を務め、観光ガイド役を買って出て市内の福祉施設の訪問に精を出した。

 故木村尚三郎東大名誉教授は「ふるさと再生に必要なことは、まずそこに住んでいる人たちが自分の町に誇りを持ち、自信をつけることだ」と話したが、来年のキーワード「地方創生」の勘所もそこにある。原さんの故郷での活動の狙いも同じだった。