「65歳以上、25・9%に」の見出しが15日付…


 「65歳以上、25・9%に」の見出しが15日付小紙に載っていた。いわゆる「団塊の世代」が老年人口に含まれ、高齢者の層がさらに分厚くなってきた。

 もともと他世代に比べ多く、この間、戦争もなく国力の充実期に長く社会の中心にいた。その自負、自覚が心身の健康につながっているのではないか。専門家のそんな分析もある。

 忘れてならないのは戦前、戦中世代が、日本の復興を目指し、彼らを必死になって育て支えたという事実である。先日、東京・新宿末廣亭で「十代目金原亭馬生33回忌追善興行」が行われ、その中で師弟関係の厳しい落語界で意外と思われる話がいくつも出た。

 10代目馬生は54歳の若さで亡くなったが、11人の弟子は全員がこの年齢を超えた。その高齢者世代の弟子たちが集まり、馬生の長女で女優の池波志乃さんらが座談した。馬生師匠はそば好きで、自らは食の豊かな嗜好を持ち合わせていた。

 しかし「自分は粗末なものを食しても、弟子にはいいものを食べさせたいと念じていた」と志乃さん。一事が万事、芸の修業は厳しかったが、ずいぶん大事にされたと今、落語界を背負う弟子たちが述懐した。

 その一人、金原亭伯楽さんは大学出で見込まれた。「鞄持ちの役でかわいがってもらった。近くで師匠の話を全部聞けたのは大変な財産」と。彼らが受けたさまざまな恩恵を次世代にどうつなげるか。「団塊の世代」の最後のご奉公の時だ。