別名・神無月の10月になった。…


 別名・神無月の10月になった。八百万の全国の神々がこぞって出雲大社(島根県)に出向いて、向こう1年間の農作や漁労の収穫、酒造り、男女の縁結びなどについて相談する

 そのために各地の神社の神が留守でいないから神無月で、逆に出雲地方では神在月と称されるとか。いかにももっともらしく受ける説明だが、これは俗説

 神無月は宛て字で「元来、神無の『な』は、『の』を意味することから“神の月”から転訛したという説が有力です。すなわち“神を祭る月”なのです」(神職・奈良泰秀氏「サンデー世界日報」2009年10月4日号)

 宮中と伊勢神宮では17日に、今年収穫の新穀を天照大御神にお供えする神嘗祭がある。伊勢神宮では一年で最も大きな祭りで、地元では「大祭」と呼ばれている。また、菊の節句である重陽の節句は9月9日だが、実際に菊が開花を迎えるのはひと月ほどあとで旧暦をあてはめた今月中旬ごろ。龍踊りや御座船の曳物などが華々しい「長崎くんち」は、長崎・諏訪神社の御九日の祭り

 菊の見ごろに稲の収穫を祝う秋祭りの祭り囃子が各地から聞こえてくる今月は、神様も豊漁安全、五穀豊穣、商売繁盛などに働き何かと忙しい

 一方、人にとっては今が旬のサンマをはじめ、これから秋の深まりとともに、シシャモ、クチボソ(マガレイ)、ハタハタ、秋サバ、ホッケと海の幸の楽しみも尽きない。