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「起業」といえば、わが国では野心はあるが…


 「起業」といえば、わが国では野心はあるが経営の先行きが不透明――と見られがちだった。だが、景気の回復傾向を追い風に、政府も起業を後押しする取り組みを進めている。

 前駐日米大使ジョン・ルース氏は昨年、東日本大震災後の復興のために「起業の阻害要因を取り除く政策変更が必要だ」と強調。米シリコンバレーでベンチャー支援に携わってきた同氏ならではのメッセージを残した。

 ところが、政府がこのほど閣議決定した2014年版の中小企業白書によると、「事業を起こしたい」と希望する人は12年が約84万人にとどまり、15年前の1997年(約167万人)から半減したことが分かった。

 中小企業庁は「この間、国内総生産(GDP)の伸び悩みやライブドア粉飾決算事件などで起業への期待感やイメージが後退したことが背景にある」と説明している。確かにそういう側面はあろうが、後付けのようでもあり同庁の戸惑いが目に浮かぶ。

 起業に関しては、1970年代前半と80年代半ばに2度のピークを経験し、それぞれの時期に専門性があり、開発にたけた企業が成長してきた。しかし多くはほどなく倒産し、これらの過程でむしろわが国の起業土壌の脆弱(ぜいじゃく)性をさらけ出した経緯がある。

 今度こそは、と支援する政府の思いも強いはずだが、わが国では就業について「寄らば大樹の陰」の意識がまだ強いということだろう。若者の奮起を促したい。