ヨーロッパ諸国では今、俳句が非常に盛んだ。…


 ヨーロッパ諸国では今、俳句が非常に盛んだ。去る1月、ベルギーのブリュッセルで国際俳句交流協会(有馬朗人会長)の創立25周年記念シンポジウムが開催された。

 参加した俳人の恩田侑布子(ゆうこ)さんによれば、15年くらい前から世界中でブームで、60カ国に根付き、特に25カ国で盛んだ。シンポジウムで基調講演をしたのはヘルマン・ファンロンパイ欧州連合(EU)大統領。政治家にして俳人だ。

 自然が好きで、簡潔な表現が好きで、意表をついた逆説的表現も大好き。しかも俳句は調和的な詩形だという。政治家として身につけてきた生き方だったが、俳句に出会って信念に王冠を得たようだと語る。

 演題は「俳句と欧州」で、もう一人の政治家兼俳人として、故ダグ・ハマーショルド元国連事務総長を挙げる。同大統領によれば、俳句は日本からヨーロッパに移入され、その思想体系に組み込まれた実例なのだ。

 恩田さんはこの後続いて、昨年のBunkamuraドゥマゴ文学賞受賞者として、フランスのパリ日本文化会館で「感情の華 恋と俳句 日本文化の土壌」と題して講演。合間に街を歩けば書店には俳句コーナーがあって、山頭火の本が平積み。

 初等教育でも俳句を教え、作らせているという話も聞く。地下鉄の駅では俳句作品を目にした。だが一方、教会では信者が激減していることを知る。西洋人の心の中で何か大きな変化が起きつつあるらしい。