自分の半生を音楽に合わせて語る「セルフ・…


 自分の半生を音楽に合わせて語る「セルフ・ストーリー・オペラ」。世界130カ国を旅した歌手AKIRAさんが創り出した新しい芸術ジャンルだが、東京都大田区出身の佐藤誠司さん(47)はその語り手の一人として活躍している。

 高校中退時には2000人の暴走族グループのリーダーで折り紙つきのワルだった佐藤さん。だが、電気工だった21歳の時、身体の50%に火傷を負う感電事故に遭い生死の境を彷徨(さまよ)った。

 五十数回に及ぶ手術を経て奇跡的に回復したものの、顔にケロイドが残り手足も不自由となって引きこもり状態に。それを克服し、東日本大震災直後からは支援活動に従事してきた。

 ある時、宮城県石巻市の避難所の人々に自分の半生を語る機会があった。すると60歳近い男性が「自分の手を見ると、動いたよ。佐藤君の話を聞き自分にも命があることに今、気づいた」と涙ながらに握手を求めてきた。

 このことが各地の避難所に伝わり、以後は被災地を訪ねるたびに話をするよう要請があった。「この間、被災者たちとの感動の出会いが数多くありました」と佐藤さん。大震災から3年を迎えるが、ここにもボランティアのきらりと光る成果がある。

 4月6日には「奇跡の出会い」と題し、東京都品川区のスクエア荏原(えばら)ひらつかホールでAKIRAさんや語り手の古市佳央さんと「オペラ」で共演する。問い合わせは090-8841-1057芝まで。