接種後に歩行困難や体の痛みなど重篤な…


 接種後に歩行困難や体の痛みなど重篤な副反応を訴える中高生が相次ぎ、接種の勧奨が一時中止されている子宮頸(けい)がんワクチン。厚生労働省の専門部会は1月下旬に症状の多くは「心理的要因」とする見解を出したものの、焦点の勧奨再開の是非には触れなかった。

 専門部会は先月26日の審議会でも、脳などの炎症がワクチンによるものとする医学者からの指摘を否定して先の見解を維持した。が、勧奨再開の判断はしなかった。

 審議会前日の25日に、田村憲久厚労相は省内の会見で、この問題について「海外ではこれほど大きな問題化はしていない」「これからもまだ検討部会を開くわけで、あくまで医学的、科学的な立場に立った方向が一番重要」と答えている。

 医学的立場から「心理的要因」説に首を傾げる専門家もいる。「心理的要因では説明できない症状があり、極めて乱暴な議論だ」(信州大学脳神経内科・池田修一教授=朝日2月22日夕刊)。

 海外からも「ワクチンに含まれるアルミニウム・アジュバント(免疫補助剤)が脳や体に炎症を引き起こしている」(フランソワ・オーシエ・パリ大学教授=神経筋肉病理学)との指摘も。日本線維筋痛症学会(西岡久寿理事長=東京医科大学医学総合研究所長)も、ワクチン接種後に痛みを訴え線維筋痛症と診断された人がいるため、痛みの原因調査に乗り出す。

 勧奨再開の是非の判断はあくまで慎重に。拙速は禁物である。