「むめ一輪一りんほどのあたゝかさ」(嵐雪)…


 「むめ一輪一りんほどのあたゝかさ」(嵐雪)。梅の花を見かけるようになったが、気温の方は寒い日もあれば、急に暖かくなることもあって一定しない。

 先日の気象予報では、きょうあたり雪が降るかもしれないということだった。気象予報はたまに当たらなかったりすることもあるが、現在ではほぼ正確だ。

 しかし先日の大雪では積雪量が予報を上回り、それが対策の遅れにつながって被害が大きくなった。その影響は侮れない。大雪被害に関するテレビの検証番組では、孤立した村の危機が報じられていた。

 もっとも、これは大雪のせいばかりではなく、山村でも近隣のスーパーなどで食料や生活用品を買えるようになったこともある。物流が行き届き、それにすべてを頼るようになった風潮が背景にあると言ってよい。大雪で交通網が寸断されれば物流が滞り、たちまち食料に困って飢えの危機が襲ってくる。

 かつて雪の多い地方は、野菜などを干物にして備蓄して、何かあっても当分は生活に困らない対策をしていた。孤立しても、それをものともしない準備があった。その意味では、物質的な豊かさによる恩恵を享受している現在の文明社会は、その根底に脆弱(ぜいじゃく)さを持っているということだろう。

 梅の花の次は、桜の花の季節になる。桜の木の枝をよく観察すると、ところどころに蕾(つぼみ)がふくらんでいて、春が遠くないことを知らせてくれる。