「フォアグラ入りの弁当は販売すべきでは…


 「フォアグラ入りの弁当は販売すべきではない」との苦情が原因で、大手コンビニチェーンが弁当の販売中止に追い込まれる事件があった。同社は「一部でも消費者に不快感を与えるのは本意ではない」と説明している。

 早過ぎる決断に驚く。フォアグラを作るためにガチョウに無理やりエサを与えることが残酷だということのようだが、そうであれば毎年日本だけで数千人の交通事故死を招いている自動車産業はもっと残酷だということになる。

 そもそもこの件も、本気で動物愛護の目的で行われたのか、それとも企業の弱腰を予想した上で軽い気持ちで実行されたのか、そのことも分からない。残ったのは販売中止の事実だけだ。

 この種の話は少なくない。最近では、キャラクターを使った表現方法が「未成年の飲酒を誘発する」と批判を受けて放映中止となったテレビのCMもある。企業側の「とりあえず中止」という姿勢からは、議論が長引いたら損、という気持ちが伝わってくる。

 あらゆる製品や表現には、クレーマーの付け入る隙が無限にある。恣意的なクレームが大きな効果を及ぼす可能性は今後ますます高くなるだろう。

 政治学者の藤田省三は「気に入らないものは排除すればいい」という風潮を全体主義と指摘した。こんな主義をよしとする国民は少ないはずだ。製品や表現物については、企業側の覚悟と国民の冷静な対応が求められる。