世界最高額紙幣1000フラン


地球だより

 スイス国立銀行(中央銀行)は5日、1000フランの新デザインの紙幣を発表した。スイスのニュースサイト「スイス・インフォ」によれば、新紙幣は光沢インク・繊維や切り抜き、紫外線や超極小文字など15の偽造防止加工が施されている。

 さらに外側にコットン紙、内側にポリマーを使った3層構造で強度を高め、これまでの紙幣より長持ちするようになっている。

 ところで、スイスの1000フランは紙幣としては世界最高額だ。日本円で約11万円。ただし、1000フランを財布に入れて買物に出掛ける国民は少ない。

 例えば、喫茶店で1杯のコーヒーを飲み、1000フランで支払おうとした場合、店側はこれを受け取らないからだ。偽札の懸念からではない。あまりにも高額の紙幣だからだ。

 1000フランで1杯4・30フランのコーヒーを注文した場合、店側はその日稼いだすべてをかき集めてもお釣りが払えないかもしれない。1000フランだと233杯のコーヒーを飲むことができる。

 店側は1000フラン紙幣で支払う客の1杯のコーヒー代のために232杯分のお釣りが必要となる。

 だから、スイスでは1000フランを発行する意味があるのか、といった素朴な疑問の声が国民から出ているわけだ。ちなみに、スイスには10、20、50、100、200、そして1000フランの6種類の紙幣がある。

(O)