世界日報 Web版

「払わなくていいです」


米国から

 先日、近所のベーカリーカフェを訪れた時のこと。レジで20代くらいの男性店員にスモールサイズのコーヒーを一つ頼んだが、「お金は払わなくていいです」と意外な言葉が返ってきた。理由が分からず、「きょうは特別な日ですか?」と聞いたが、そうではないという。

 コーヒー1杯の値段が約2ドルと安く、会計の手続きをするのを面倒に思ったのだろう。

 他の店員のときは必ず支払っているので、お店の方針というわけではなく個人の判断のようだった。

 別の日にこの店で同じ店員に出会ったが、その時も再び無料で飲めることとなった。

 この店員の気前の良い振る舞いのおかげで2度も得をすることになった。ただ、この店員の懐が痛むわけではなく、勝手に店の利益を減らすようなことをしていいものかとも思った。

 バスでも運賃を無料にしてもらったことがあった。最寄り駅から自宅に向かうバスに乗ったが、うっかりしていてチャージ残高不足だった。駅まで引き返そうとしたところ、運転手に呼び止められ、乗っていけと言われた。手間が省けた上に、無料で乗れることになり、ここでも得をした。

 個人の裁量でここまでできてしまうのは米国ならではのことだ。

 ただ毎回、無料というのも気が引けるので、今度例の店員に出会ったら、もう少し価格の高いものを頼まなくてはと思う。

(Y)