サッカー王国で日本代表を思う


地球だより

 サッカー日本代表が、28日のアジア・カップ準決勝でイランに快勝した。1次リーグでの苦戦を忘れさせるほどの内容で、ワールドカップ(W杯)ロシア大会で世界を驚かせた日本代表を見ているように感じたのは記者だけではないだろう。

 一方で、W杯最多優勝を誇るブラジルでの「イラン撃破」の報道は非常に少ない。スポーツメディア最大手の「グロボスポーツ」は、通信社の配信に頼らず、自社による試合内容の解説や分析、選手の採点を行っているが、それでもスポーツ欄(電子版)トップには出てこない。記事自体、検索しなければ見つけることも難しいほどだ。

 もちろん、ブラジルでの日本代表に対する評価は、歯牙にもかけられなかった時代に比べれば、それなりに変化はしている。特に、ロシア大会でブラジルの宿敵の一つであるコロンビアを撃破し、優勝候補のベルギーを追い詰めたことは、ブラジルメディアとサッカーファンの認識を変えさせるに十分だった。

 それだけに、今でもベルギーに勝ち切れなかったことが悔やんでも悔やみ切れない。あの試合に勝っていれば、次のブラジル戦までの3日間、ブラジル中のメディアが日本代表に関する報道を集中して行っていたはずだ。

 スポーツの結果に「もし」はないが、ブラジル代表を苦しめることができていたら、日本代表への評価は大きく変わったことだろう。

(S)