未成年者への性的虐待、映画で暴露


地球だより

 米ボストンのカトリック教会聖職者による未成年者性的虐待の実態を暴露した米紙ボストン・グローブの取材実話を描いた映画「スポットライト」(トム・マッカーシー監督)は第88回アカデミー賞作品賞、脚本賞を受賞したが、ポーランド版「スポットライト」が同国で大ヒットしている。

 同国の著名な映画監督ヴォイチェフ・スマジョフスキ氏の最新作品「聖職者」(Kler)は、小児性愛(ペドフィリア)の神父が犯す性犯罪を描いており、カトリック教会は上演阻止のため撮影を妨害するなどさまざまな圧力をかけた。しかし、国民の関心はそれを吹っ飛ばすほどだった。今年9月末の上演以来、500万人以上を動員している。

 国民の95%がカトリック教会に所属するポーランドでも、聖職者の未成年者への性的虐待が過去、発生してきた。上映と同時に、教会に対し聖職者の性犯罪の事実を公開すべきだという声が信者の間からも日増しに高まっていった。

 ついにポーランド教会司教会議は19日夜、同国南部チェンストホヴァの会合後、聖職者による性的虐待問題を認め、犠牲者、その家族、教会関係者に謝罪する声明文を公表した。同国は欧州カトリックの牙城で、聖職者の性犯罪があったということはこれまで一度も正式には報告されなかった。

 スマジョフスキ監督は、「教会指導者は過去、聖職者の性犯罪を隠蔽(いんぺい)してきた。教会は責任をもって解決すべきだ」と述べている。

(O)