27歳のオーストリア新外相


地球だより

 オーストリアで16日、社会民主党と国民党の2大政党の大連立政権が発足した。厳密にいえば、第2次ファイマン政権だ。新鮮味に欠ける上、連立交渉で選挙公約を次々と放棄した末の新政権の誕生だけに、有権者の目は厳しい。

 そのような中で唯一の新鮮さは27歳の若者、国民党のセバスチャン・クルツ氏が外相に選出されたことだ。27歳の外相は欧州最年少だ。独週刊誌シュピーゲル誌電子版は27歳の外相誕生を早速報道し、「神童がキャリアを積む」と少々皮肉を込めて報じている。オーストリアの日刊紙スタンダードは「バカにしている」と酷評し、クローネ紙は「政権の広告塔」とシニカルに紹介している。

 クルツ氏は第1次ファイマン政権では移住民統合促進を担当してきたが、積極的な活動で国民の人気は高かった。そこで第2次ファイマン政権では外相のポストに抜擢されたわけだ。ただし、同氏には外交経験は皆無だ。

 その若手政治家を国の外交のトップに座らせて大丈夫かという懸念は当然ある。政治家の資質より、国民の受けを重視した人事だろう。厳密に言えば、同国の外交は誰がやっても同じという冷めた認識があるのかもしれない。

 27歳の青年外相はウィーンの外務省に旋風を巻き起こすかもしれないが、外交の国際舞台でその手腕を発揮できるまでには時間が必要だろう。第2次ファイマン政権の5年間で青年外相がどのように成長していくか、国民は注視している。

(O)