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ビーチでも黒ずくめ


地球だより

 地中海沿岸の都市アレクサンドリアとリビア国境の中間にあるマルサマトルーフのビーチが素晴らしいと聞いたので行ってみた。

 ホテルからの眺めは抜群、左右に広がる広大な海は、細長い陸地によって入り江がほぼふさがれ、湾内の波は穏やかで、まさに絶景だ。

 ところがビーチに出てみて驚いた。赴任当初アレクサンドリア市沿岸のビーチを訪れてショックを受けた感覚を思い出した。

 泳いでいるのは子供と男性だけで、女性はほとんどが、全身を覆う女性イスラム教徒の衣装「ニカブ」を頭からかぶって真っ黒、子供たちの泳ぎを見守っているだけだ。持ち込んだ荷物の中から、飲食物を取り出して子供たちに食べさせている。

 そのほとんどが家族連れで、恋人風のカップルは皆無。カラフルな水着の女性は一人もおらず、たまに泳ぐ女性はアラブ式の地味な全身を覆う水着か、たいていは黒い服で着の身着のままで泳いでいる。

 砂は真っ白で細かく、理想的なビーチなのだが、地元の人しか来ないビーチだったのだ。イスラム文化の特異さを感じさせられる場所でもある。周りの目やスタイルを気にせず自由に家族と楽しめる気楽さもありそうだが。

 老若7人の女性だけのグループがいた。泳ぎもしないのになぜここへと聞くと、避暑だという。首都カイロの砂漠気候を逃れ、地中海性気候のここへ涼みに来たのだ。

(S)