“出塁マシン”秋信守


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 プロ野球経営者の立場から見るとチーム貢献度が最も大きい打者は誰だろうか。一般的にはホームランやヒットをたくさん打つ選手を挙げるだろうが、正解ではない。出塁率が高い選手だ。選球眼がよく、忍耐心を持っていてこそいい球を打つことができ、出塁率も高くなるために、その価値が高まっているのだ。1990年代に、オークランド・アスレチックスのビリー・ビーンGM(ゼネラル・マネジャー)は、出塁率と長打率が高い選手を中心に起用して低費用高効率の“マネーボール”突風を起こした。

 2005年にメジャーリーグにデビューして14年目のベテラン、秋信守選手(36)。これまで“高い年俸をもらいながら見合った働きをしない”との批判に苦しめられた。13年末に自由契約(FA)選手になった彼はテキサス・レンジャーズと7年総額1億3000万㌦(当時、約1378億ウォン)の超大型契約を結んだが、過去4年間は報酬に見合った活躍を見せられなかった。負傷まで重なって「最悪の投資」と後ろ指を指されたりもした。

 ところが今年は変わった。秋選手は今シーズン、打率2割9分3厘、17本塁打、42打点、出塁率3割9分9厘、長打率5割4厘を記録している。出塁率はアメリカンリーグ4位、メジャーリーグ全体で7位とトップクラスだ。ボールにはバットを振らないという意味だ。選球眼がよくなって打撃も急上昇して“出塁マシン”として厚遇されている。もちろんタダで成し遂げたのではない。秋選手は今シーズンの前に、打撃フォームを変える決断を下した。打つ時に右足を持ち上げるレッグ・キックを選択したのだ。ベテラン選手が打撃フォームを変えるのは冒険だ。シーズン開始直後は深刻な不振に陥ったが特有の屈強な気質で自分のものにしてしまった。

 秋選手は今月9日、二重の喜びを味わった。デトロイト・タイガース戦9回の最終打席で、3塁前の内野安打を打って球団の連続試合出塁記録を塗り替える新記録(47試合)を打ち立てた。そして、この活躍が認められてメジャーリーグで初めてオールスター戦に選ばれる夢も実現した。朴賛浩、金炳賢に続く歴代3人目の韓国人メジャーリーグ・オールスター出場が決定、打者としては初めてだ。「これは野球の神様が私にくれたプレゼントだ」。彼は謙遜さまで備えていた。今度はメジャーリーグの現役最多連続試合出塁記録(48試合)に挑戦する。記録の更新が続いていくことを期待したい。

 (7月11日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。