どうなる金正恩特需


地球だより

 先の南北首脳会談で北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が晩餐(ばんさん)メニューの一つに決まったことで持って来させた「平壌冷麺」は、実際に晩餐で食べた人によれば「かなりいい味だった」という。その話題に触発されたのか韓国でも売り上げが伸びているようで、特に会談当日は昼食時から「平壌冷麺」の看板を掛けた有名店を中心に長蛇の列ができたほど。ある韓国メディアはこれを「金正恩特需だ」と報じていた。

 特需といえば株式市場も途絶えている南北経済協力が再開されることへの期待感から操業中断中の北朝鮮・開城の工業団地に進出している企業の株が会談前から上がったほか、外国人投資機関の楽観的見方が伝えられている。北朝鮮の非核化が進展し、朝鮮半島の平和体制が構築されて地政学リスクが低下した場合、「平和配当金の策定」や「ベルリンの壁が崩壊したときのような高騰」が予想されるという。

 これから特需にあやかるであろう人たちもいる。テレビのニュース番組などで時事問題の解説をする「専門家」と呼ばれる人たちのうち北朝鮮に融和的なリベラル派だ。南北首脳会談で演出された「平和」に陶酔する視聴者受けを狙ったテレビ局側が彼らに出演を依頼する回数が増え、そうなれば何より顔を売るチャンスだ。

 ただし、特需はバブルかもしれない。金委員長が核・ミサイル・独裁をやめて本当に「いい人」になるとは到底思えないのだから…。

(U)