つり橋ブーム


韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 江原道の原州市地正面にある艮峴(カニョン)観光地は1970年代~80年代、首都圏近隣の行楽地として脚光を浴びた。小金山から流れ出た三山川の水かさが深くない上に、白い砂の川原が広がっていて、水遊びの場所としてはもってこいだった。(春川市南山面)江村(カンチョン)、(京畿道楊平郡)両水里(ヤンスリ)などと共に、大学生が集団でデートする場所として有名だった。しかし、高速道路が拡張されて、原州に工業団地が造られるようになってから、艮峴観光地は衰退し始めた。

 最近、その艮峴観光地が旅行の名所として生まれ変わりつつある。今年1月、小金山に建設したつり橋がわずか70日で50万人が訪れるほど“大当たり”したためだ。艮峴観光地は年間の観光客が10万人前後にすぎなかったが、今は年間300万人以上を視野に入れている。最近は、PM2・5(微笑粒子状物質)の濃度が人体に被害を及ぼす基準値を超える日にも、小金山のつり橋は花見客で足の踏み場もないほどだ。

 現在、全国には(京畿道)坡州の紺岳山(カマクサン)、(忠清南道)青陽の天庄湖(チョンジャンホ)などに50カ所ほど大小のつり橋がある。小金山のつり橋が大成功したので、仁川(広域市)、(全羅南道)順天など他の自治体でも先を争って建設に乗り出しており、つり橋は急激に増える見通しだ。自治体が掲げる理由は地域経済活性化の効果だ。小金山の場合、観光客が押し寄せて近隣商店の売り上げが昨年の10倍以上に跳ね上がった。環境破壊の心配も少なく、建設費用も40億ウォン程度であまり多くないというのが自治体の説明だ。

 つり橋ブームは祝祭(フェスティバル)、ロープウェー、レールバイクブームの時とよくにた様相だ。ある地域の祝祭や観光商品がヒットすると、誰彼なく“二匹目のドジョウ”を得ようとする。例えば、氷上釣り祝祭の場合、(江原道)華川のヤマメ釣り祝祭が成功すると、京畿道の北部と江原道一帯で雨後の筍(たけのこ)のように同じような祝祭が10余りも誕生した。しかし、成功した所はごく少数にすぎない。

 つり橋も最初は好奇心で訪れるかもしれないが、時間がたてば訪問客は減少するしかない。何の特色もなく同じような風景のつり橋を何度も訪れる人間がどれだけいるだろうか、というのが専門家たちの指摘だ。再訪してもらえず人足が遠のけば、つり橋は維持費だけがかかるお荷物になってしまう。自治体が無分別な“模倣”に走って“大損”しないか心配だ。

(4月9日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。