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フランス食文化の伝統


地球だより

 先日、和食がユネスコの世界無形文化遺産に登録された。フランス料理は2010年に登録済みだが、フランスの高級料理ではなく、フランスの食文化全体として登録された。和食もこれを参考にして高級な料亭料理ではなく、和食文化そのものをアピールし、登録に成功したようだ。
 最近のフランスでは、和食は食生活に深く浸透している。フランス人の友人の多くは、1週間のうち平均2、3回は和食を食べている状況だ。だから、和食レストランの数も急速に増えたが、同時にフランス料理にも積極的に取り入れられている。

 例えば、ブルターニュ地方レンヌにある知人が経営するフランス料理店では、5年前からシェフが隠し味としてしょうゆを使っている。一応企業秘密になっているが、レストランは繁盛し続けているところをみると効果はあるのだろう。

 また、有名シェフも日本料理の影響を受けている。1970年代にヌーヴェルキュイジーヌと称せられた新しいフランス料理を提案したポール・ボキューズ氏も日本の懐石料理に影響を受けたとされる。大盛りではなく、少量の洗練された料理を美的に盛り付けた料理を出して、今では三つ星シェフとしてフランス料理界に君臨している。

 日本でも有名なフランス人シェフのロブション氏は「日本人は、洗練された料理を手軽に食べる習慣を持っていて素晴らしい」と称賛し、パリに手軽な料金で食べられるレストランをオープンして話題になった。

 これで思い出すのは、日本の浮世絵が19世紀末のフランスの画家たちに多大な影響を与えたことだ。印象派の画家たちと日本画は切っても切れない関係にある。世界的に評価を受ける奥の深いフランス料理と和食が交流する姿は、また、それを支える両国の国民の舌と文化レベルにあることも無視できないことだ。

(M)