ユダヤ人のイスラエル移住


地球だより

 欧州最大規模のユダヤ人とアラブ人の両コミュニティーを抱えるフランスに緊張が走っている。トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と正式に認定したからだ。

 特にパリに両コミュニティーは集中しており、パリ北東部ベルヴィル界隈には多くのアラブ人が住み、北郊外のサン・ドニ県では、小さな礼拝所に入りきれない信者が町の路上で礼拝に参加している。最近、内務省は交通の妨げになるとして礼拝中であってもイスラム教徒を路上から排除することを表明したばかりだ。

 ただでさえ、600万人居るといわれるフランスのアラブ系住民は、イスラム過激派によるテロの影響で白い目で見られている。

 一方、60万人居るといわれるユダヤ人たちは富裕層が多く、ユダヤ教の礼拝堂シナゴーグがパリの至る所にある。さらにパリとその周辺だけで、60校以上のユダヤ人学校があり、彼らのコミュニティーからは政治家や弁護士、医者などを多く輩出している。

 パリの富裕層が住む16区で画商をしているユダヤ人のアブラハム氏は「エルサレムの首都宣言は歓迎すべきことだが、一歩間違えば、衝突する可能性もある」と心配している。2015年1月に発生した仏風刺週刊紙「シャルリー・エブド」の本社とユダヤ食品店の襲撃テロの後、1万人近い在仏ユダヤ人がイスラエルに移住している。

(M)