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モスク襲撃に思う


地球だより

 エジプトのテロは、そのほとんどが、同国東部シナイ半島北部で発生、大部分は、軍や警察などの治安要員が標的だった。その頻度は高く、政府は自分たちの被害を周知せしめるためにわざと放置しているのではないかとの疑念がささやかれるほどだった。

 ところが先月24日の大規模テロは、従来とは全く異質のもので、イスラム教徒が礼拝中のモスク(イスラム礼拝所)が標的にされた。死者は311人に上り、負傷者数は128人。エジプト史上最大級の犠牲者を出すに至った。

 犯行の手口やその周到な計画性などから、犯人はシリアやイラクで過激派組織「イスラム国」(IS)の訓練を受けた者がリビア経由でエジプト入りしたのではないかとみられている。

 襲撃の理由は当初、イスラム神秘主義ともいうべきスーフィー派を、ISが異端視したためではないかとの見方が広がったが、より大きな理由は、当地の有力部族がISへ反旗を翻したためではないかとの見方もある。

 ただ、取材していてよりショックだったことは、この事件に対するある一部の知識人たちの反応。現地の新聞社に勤務する人たちが「ああ、スーフィーか。それなら仕方がないな」と言っていたのだ。同じイスラム教スンニ派の中での内部対立にまで事が進んでいる。

 そういうこともあってか、エジプトの治安当局はかなりピリピリしている。

 一方、トランプ米大統領のエルサレム首都承認への抗議デモは、カイロとアレクサンドリアで行われたもようだが、テレビ放映はすぐにカットされた。

(S)