ロシア帰化選手の本音


地球だより

 韓国初の冬季五輪となる平昌冬季五輪まで余すところ約2カ月。否が応でも国民の関心が高まるところだが、なぜか高揚感はあまり感じられない。一丸となって成功を願ったあの「パルパル(韓国語で88の意)五輪」(=1988年のソウル五輪)時に比べ明らかに静かだ。かつてのフィギュア女王、キム・ヨナ選手のような国民的スターも不在で、開催国に期待されるメダルラッシュに黄信号が灯っている。

 そうした中、話題の人物がいる。前回ソチ冬季五輪でスケートの男子ショートトラックにロシア代表で出場し、金3個、銅1個を取る活躍を見せた韓国出身のビクトル・アン(韓国名・安賢洙)選手だ。アン選手は派閥主義、足の引っ張り合いがはびこる韓国体育界に嫌気が差しロシアに帰化、ロシア代表として表彰台に立った。ところが、今回はロシアの組織的ドーピング問題で個人資格でのみ出場が許されるという憂き目に遭っている。

 韓国・ロシアの狭間で揺れるアン選手に韓国では同情の声も上がっているが、中には「カネ儲けする時はロシア人だが、声援を受ける時は韓国人」という手厳しい指摘も。実力を発揮できる環境にこだわった末の国籍離脱だったが、それを「裏切り」と見る向きもある。スキージャンプ選手の挑戦を描いた映画のタイトルにもなった「国家代表」という言葉に、多くの韓国人はある種の自負心を抱く。アン選手の本音はどうなのだろうか。

(U)