「北風」に乗った「アベ」


地球だより

 先の衆議院選挙で自公連立与党が圧勝したことと関連し、麻生副総理が「北朝鮮のおかげ」と発言し波紋を広げたが、韓国では圧勝した理由の一つは「北風」だったとメディアを中心に公然と語られている。安倍首相が北の核・ミサイル脅威を「国難」と位置付け、これに対応できるのは安定した自分たちの政権しかないと有権者に訴えたことが功を奏したというもので、つまりは麻生氏が言う通り「北の脅威=北風」のおかげだというのだ。

 元祖「北風」は韓国で吹いた。かつては「北が攻めてきたら大変」との理由で軍拡世論が広がり、北に厳しい保守派に有利に働いた。選挙前、北絡みの事件が勃発すると「北風工作」とささやかれたりした。ところが近年は「戦争が起きたら私の生活が滅茶苦茶にされる」という戦争恐怖論で逆に北を刺激しまいというリベラル派に票が集まる。知人の韓国人に言わせれば「選挙で北風を利用してきた韓国のお株をアベが奪った」のだそうだ。

 当の北は「アベ」が「日本を北風という反共和国的な芸人遊びの場に駆り立て民心を愚弄(ぐろう)した」(労働党の外郭機構)と非難しているが、北とすればトランプ米政権を対話のテーブルに着かせたいところが、米国と対北圧力で一致する同盟国の安倍政権を勢いづかせる結果になったのだから面白くないだろう。

 今回は「北風」に乗って圧勝した「アベ」に軍配が上がったと言わせてもらう。

(U)