大統領とスポーツ界の対立


地球だより

 トランプ米大統領と一部スポーツ選手の間で対立が起こっている。事の発端はトランプ氏が22日にアラバマ州で行った演説で、ナショナル・フットボールリーグ(NFL)の選手たちが国歌斉唱時に起立せず片膝をついていることを批判し、球団オーナーはこうした選手を解雇すべきだ、と主張したことにある。

 これに対して、24日に行われたNFLの試合では国歌斉唱時に膝をつく選手が続出。ピッツバーグ・スティーラーズ、シアトル・シーホークス、テネシー・タイタンズは選手の多くが国歌斉唱時にフィールドに現れなかった。

 もともと、片膝をつく行為は警察官による黒人への暴力行為に抗議するためだったが、今や米大リーグの選手も同様の抗議行動を行うなど、スポーツ界の反トランプ運動になりつつある。

 ただ、政治色が強くなってきたことでファンからは困惑する声も聞かれる。国歌斉唱時にロッカールームから出てこない行為には批判も多く、スタジアムではブーイングも飛んでいるという。

 こうした騒動を「米国の分断」が進んだ結果だと分析する米メディアもある。昨年の大統領選で露呈した「分断」だが、本来政治とは無縁であるはずのスポーツを通して改めて感じさせられるのは残念でもある。

(Y)