批判に晒されるムスリム同胞団


地球だより

 エジプトの地中海沿岸の都市アレクサンドリア近郊で列車事故が発生し、43人が死亡、百数十人が負傷する痛ましい事故があったが、その真相が明らかにされるにつれ、国民の批判が、イスラム主義組織「ムスリム同胞団」に向かっている。

 現地のテレビ報道によると、故障して停車中の列車に突っ込んだカイロ発の列車の運転士は、四つの赤信号を無視して突っ込んだという。しかも、衝突直前、窓から飛び出し、無事生還していたというから驚きだ。

 それを知った国民の一部は、その運転士はわざと列車を衝突させたのであって、政府の信用失墜と国内の混乱を演出する意図があったムスリム同胞団の仕業だと騒ぎ立てている。運転士は逮捕され、取り調べ中だ。

 ムスリム同胞団とは、エジプト・イスマイリアで1928年に結成された、イスラム法を世界各国に適用することを通じて全世界イスラム化を目指す団体で、アルカイダや「イスラム国」などの「イスラム過激派」を「育てる温床」として、アラブ諸国のみならず、欧米各国にも支部を設置、活動している。その同胞団を支援し、過激派を応援しているとしてカタールはサウジアラビアやエジプトなどアラブ4カ国から断交処分を受けている。

 ムスリム同胞団に対する国民の怒りは別の面でも高まっている。エジプトでは月に数回、断水や停電が発生している。それを陰で仕切っているのが同胞団だという指摘だ。同胞団は官庁や会社、学校、施設など至る所に潜伏、電気や水道関連機器を破壊・故障させ、国民に心理的な不安を醸成し、政府批判に結び付けようとしているとみられている。

(S)