海兵隊の敵は日本?


地球だより

 韓国の北西、黄海の南北軍事境界線に相当する北方限界線(NLL)に近い延坪島に取材に行った時、韓国海兵隊を間近で見る機会があった。海兵隊は通常軍より訓練が厳しく、韓国動乱やベトナム戦争などでの戦功を誇る。11月下旬の寒風吹きすさぶ島内を上半身裸で隊列を成し掛け声を上げながらランニングする様子につい見入ってしまった。「これが北と戦う精鋭か」と思ったものだ。

 その海兵隊が今月から日本海の鬱陵島(韓国慶尚北道)で中隊規模としては初の投入訓練を実施しているという。今回の訓練には含まれないものの、そもそもの目的の一つに有事を想定した竹島(韓国名・独島)の“防衛”もあるそうで、そうなると仮想敵国の一つは日本ということになるのだろうか。日本が竹島の領有権に言及するだけで、韓国は「またドクト(=独島)に対し挑発した」と過剰反応してきた。

 北朝鮮が核攻撃能力をちらつかせ、トランプ米大統領がむきになった子供のように言い返す米朝の応酬がエスカレートする中、韓国は米国と定例の軍事演習を開始したが、対北抑止の重要さが分かっていても、いざ日本と軍事協力するとなるとまだ抵抗感が根強い。まさかとは思うが、北朝鮮を「主敵」と明言することを避けた文在寅大統領が海兵隊の実力を北朝鮮ではなく日本にぶつける命令を下しはしまいか。一抹の不安は残る。

(U)