マニラの迷惑な洗礼


地球だより

 マニラ首都圏で開催されたASEAN(東南アジア諸国連合)外相会議で、各国から多くの出席者が訪れたが、中には犯罪都市の洗礼を受けた者も少なからずいた。

 まず牙をむいたのは、首都圏名物の悪徳タクシー。ベトナム厚生省の女性が観光名所であるマニラ市のリサール公園から、マニラ湾に向かうためタクシーに乗ったところ、たった数分の距離を20分も遠回りされ、2900ペソ(約6000円)という法外な料金を要求された。びっくりした女性はタクシーを降りて友人に電話し、運転手と交渉してもらうため携帯電話を渡したところ、運転手はタクシーを加速させて携帯電話を持ったまま現場から走り去ったという。幸い付近の防犯カメラの映像にタクシーが記録されており、ナンバープレートから身元が判明した運転手はすぐに逮捕された。運転手は料金の代わりに携帯電話を手渡したと思ったと、信じられない言い訳をしている。

 さらにトルコ外務大臣の夫人も窃盗被害に遭っている。公務を終えて帰国したところ、預け荷物に入れていた宝石箱が紛失していたのだ。大使館を通じて報告を受けたニノイ・アキノ国際空港当局が調べたところ、荷物の積み込みを担当する職員のロッカーから盗まれた宝石が発見され、窃盗に関与した4人が逮捕された。

 いずれもマニラでは日常的に起きている犯罪だが、ASEAN会議の出席者を通して改めてその多さが浮き彫りになった。

(F)